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<ホラー映画ナビ>ラッセル・クロウが恐すぎ! あおり運転男が大暴走『アオラレ』【歴代アオラレ映画付き】

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映画『アオラレ』 この形相であおられたら恐い…
映画『アオラレ』 この形相であおられたら恐い…(C)2021 SOLSTICE STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

 次々と日本上陸を果たす最新ホラー映画から選りすぐりの注目作をピックアップ。独創的でスリリング、おもしろコワイ、観て損なしの「この1本」を独断と偏見でチョイスして、関連度の高い「おすすめ作品」とあわせてご紹介! 今回はその名もズバリ『アオラレ』。世間を騒がす「あおり運転」男を名優ラッセル・クロウが巨体を揺らし怪演するノンストップ・アクションスリラーだ。

【写真】初公開カットも! ラッセル・クロウがにらむ、アオる、襲う『アオラレ』フォトギャラリー

 シングルマザーのレイチェル(カレン・ピストリアス)は、美容師の訪問仕事で15歳の息子カイルを育てながら、弟とその恋人も同居する家をなんとか維持して暮らしている。しかし、綱渡りの日々に疲れは限界。今朝も寝坊し、急いで息子を学校に送るため年季の入った愛車を走らせるが、フリーウェイは大渋滞。さらに、顧客との約束にも遅れ、電話でクビを言い渡されてしまう。散々な状況に半ギレになるレイチェルだが、息子の慰めでなんとか気を取り直して下道へ。だが今度は、信号が青になっても目の前のピックアップトラックが発進しない…。

 ブー! ブー! ブー! 思わず鳴らしたイラ立ちのクラクション。それが、彼女の日常を一変させる。トラックを追い抜いて先を急ぐが、運悪く次の信号は赤。音もなく車を横に寄せてきた運転席の男(ラッセル・クロウ)は、窓越しに「あんなにクラクションを鳴らさなくてもいいじゃないか。マナーが悪い。謝罪してくれ」と頼む。だが、レイチェルはきちんと謝れない。そして、果てしないアオラレ地獄が幕を開ける。

 「この映画には出演しない」。暗すぎるキャラクターに、脚本を読んだラッセル・クロウは直感でこう漏らしたそうだが、その瞬間「いつからこういう作品を拒むようになったのか、と思った。僕は、まさにこういう難しい役柄をいつも求めている」と演技魂に火をつけ、オファーを引き受けたという。

 危険なあおり運転に始まり、執拗(しつよう)な脅迫電話でヒロインを泣かせたうえ、車を降りても猪突猛進。名無しの男は周囲の目などまったく気にせず、その魔の手は無償で相談に乗る離婚弁護士やレイチェルの身内にまで迫っていく。常識や体面など無用。守るべき存在もない。自暴自棄に陥った暴力巨漢の制御不能な恐ろしさ。そんな好感度をかなぐり捨てた「攻めの悪役」にあえて挑んだオスカー俳優の大熱演は必見だ。

 どうにも謝れない女と、決して許さない男という最悪の巡り合わせが招く、命がけのデッドヒート。離婚調停中のレイチェルは勝手な要望を押しつける元夫にくすぶり続ける怒りがある。実は男も、不本意に仕事を失くし妻と別れ、やり場のない怒りで身を滅ぼした人間だ。まるで裏返しの境遇に立つ2人が互いを絶対に許せないのは、どちらも無意識に「被害者」の感覚があるから。世の中には調子よく生きているやつも大勢いるのに、なぜ、私だけ、俺だけが理不尽に苦しまなくてはならないのか。

 それは「自分が悪いからでしょ」と、状況を冷静に眺めるレイチェルの息子は忠告する。人生の苦境にアオラレて、見知らぬ相手に怒りを転嫁する大人たちに対し、リアルな身の丈を心得た若者はずっと賢く、この世界を生きている。『アオラレ』は街角の路上から現代の恐怖に鋭く切り込む、アツくてイタい、エキサイティングな快作エンタテインメントだ。

 映画『アオラレ』は5月28日より全国公開。


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