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『エルヴィス』で神がかった演技 オースティン・バトラー、3年にわたる役作りで内側からなりきる

映画

オースティン・バトラー
オースティン・バトラー クランクイン! 写真:小川遼

 “キング・オブ・ロックンロール”と称される希代のスーパースター、エルヴィス・プレスリー。若くして謎の死を遂げた彼の波乱人生を映画化した『エルヴィス』で主演を務めた俳優のオースティン・バトラーが初来日を果たし、キャリアの全てを注いで取り組んだ本作への思いを語った。

【写真】エルヴィスのような色気漂うオースティン・バトラー 撮り下ろしフォト

■オファーを受けたとき、運命的なものを感じた

 本作は、『ムーラン・ルージュ』『華麗なるギャツビー』で絢爛豪華な世界を作り上げたバズ・ラーマン監督がメガホンをとったミュージック・ドラマ。スターとして人気絶頂の中、不可解な死を遂げたエルヴィスの生きざまを、「監獄ロック」「ハウンド・ドッグ」など誰もが一度は耳にしたことのある名曲の数々に乗せて活写する。また、アカデミー賞俳優トム・ハンクスが強欲なマネージャー、トム・パーカーを熱演。エルヴィスとの知られざる関係性が解き明かされる。

 オースティンにとってエルヴィスの存在は、あくまでも「おばあちゃんが大好きな歌手」。本作のオファーが来るまでは、なじみはあったけれど、特に大ファンというほど夢中だったわけではない。ところが、不思議なお告げが彼に降り注ぐ。「ロサンゼルスでクリスマスを迎えたとき、何気なくエルヴィスの『ブルー・クリスマス』を口ずさんでいたんだ。その2週間後、今度はピアノを弾きながら、なぜかまたエルヴィスの歌を歌っていたら、友人から、『君はエルヴィスを演じるべきだよ』って言われて。すごくうれしかったけれど、そんなチャンスあるわけないし、他人事のように聞いていたんだけど、なんとその2日後に、『バズ・ラーマンが近々、エルヴィスの映画を撮るらしいよ』とエージェントから連絡が入って…。これって神のお告げだよね!」。

写真:小川遼
 何か運命的なものを感じたオースティンは、「何がなんでもこの役を掴みたい」という思いが湧き起こり、オーディションが始まる前から行動に出る。「エルヴィスに関する全ての資料を読み、映像もチェックし、そして考えたんだ。『どうすれば、“人間”エルヴィスの扉を開くことができるか』ってね」。そんな時に、たまたまエルヴィスのドキュメンタリーを観て、足りなかったピースが埋まった。「エルヴィスは23歳のときにお母さんを亡くしているけれど、実は僕も同じ年齢で母を亡くしているんだ。この接点がエルヴィスをより身近な人間として感じるキーになったんだ」。さらに不思議なことがオースティンに起こる。「今は亡き母が夢の中でまた亡くなる、という悪夢を見たんだ」と表情を曇らせる。そのときの悲しい気持ちを、「アンチェインド・メロディ」に込めて歌い、それをラーマン監督に送った。そして、エルヴィスとの長い長い旅が始まったのだ。

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■ムーブメント・コーチと二人三脚でエルヴィスの領域に!

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