『時をかける少女』から35年、原田知世の唯一無二の人生
「女優の仕事って一期一会的だなと思っているので、ずっと同じ人とご一緒するというイメージがないのですが、音楽は自分のペースでやってこられたので、そこでの出会いは、とても大きいですね。鈴木慶一さんやトーレ・ヨハンソンさん、いまは伊藤ゴローさんと10年以上、ご一緒させていただいています。慶一さんもアルバムができたら、まず感想をお聞きしたいし、私の10代から素敵な曲や詞を書いて下さっている大貫妙子さんにも素敵なご縁を感じています」。
音楽での素敵な出会いは、女優業にも大きく関係しているという。「私は、演じることと音楽は全然違うものだと思っています」と語ると、両方があったからこそ、芸能活動をここまで続けてこられたと断言する。
女優として作品に出演するなか、20代半ばから「音楽もしっかりやろう」というビジョンを明確に持った。そこから両方を行き来することにより、煮詰まることなく、いつも新鮮な気持ちで、どちらにもアプローチができた。「お芝居が続くと歌をやりたくなって、歌をやっているとお芝居の表現が恋しくなるんです。常に表現することに飽きなかったことが、長く続けてこられた秘訣だと思います。いまは歌とお芝居があってはじめて原田知世なんだと思っています」。
女優業は、目標を持ち、計画を立てても、その通りになるものではないと達観する。一期一会的な出会いがあってはじめて成立するというのだ。その意味では「2018年は、この作品といい、朝ドラといい女優業としてはとても素敵な出会いが続きました。特に『半分、青い。』出演の反響は大きく、改めて『朝ドラってすごいな』と思いました」と目を丸くする。
歌と音楽と共に歩んできた35年。先のことは「わからないですね」と柔らかい笑顔で語った原田。このマイペースさも彼女の大きな魅力と言えるだろう。(取材・文:磯部正和/写真:高野広美)
映画『あいあい傘』は公開中。