ゆうめい新作音楽劇『あわせて』3都市で上演 宮崎吐夢&村山新の2人芝居
■池田亮(作・演出・美術・アートディレクション)
風が強いある日。当時住んでいたアパートの前に堂々と立ちションをしているお爺さんがいました。注意できませんでした。ぶわっと大きな風が吹くと、波打つ水分がたたたっと塀のブロックに「...」と大変綺麗な等間隔の3点リーダーを残しました。やはり現実は果てしないと心底感じました。
それが起こる数十秒前、自分の脳内では辛いことがあった平成時代に流行していた曲が流れており、思い出したくないフレーズを思い出して嫌な気持ちが顔を出したのですが、職人のような「...」が消し去りました。声をかけると無言で、ブロックの「...」が漫画の描き文字のようにも見えて、その後同じアパートの住人ということを知り、挨拶する仲になりました。
お爺さんが亡くなり、もう10年以上が経ち、フィクションで「...」と書く時、今でもごくたまに言葉でも記号でもないような知らない現実へ繋がっている気配がします。新たな音楽と戯曲をあわせて、どこかへつながる旅となる音楽現代劇を作ります。お楽しみください。
■宮崎吐夢
とんでもなく不安です。台詞は基本的にモノローグ。現時点ではどちらかというと「書き言葉」っぽく書かれています。完全な朗読劇だったらそれをそのまま読めばいいのですが、「吐夢ちゃんなら絶対覚えられると思ってます!」というLINEが池田さんから来ました。
でも内容は自分がやったことのないジャンルの役柄で面白く興味深いものの何度声に出して読んでみても台詞が頭にまったく定着せず口からすらすら出てこないのです。そして顔合わせも稽古もまだ始まっていないのだけれど、第二稿、第三稿、第四稿・・・と、どんどん追加台本が送られてきます。
ここに音楽が加わるとさらに一体どうなるのか。とにかく不安で不安で不安で夜も眠れず、そのせいで昼寝ばかりしてしまう毎日です。
■村山新
こんにちは。村山新と申します。昨年の夏に右足を失いまして。義足で出歩くと、小さなお子さんに「おふろはどうやって入ってるの?」「寝るときはどうしてるの?」などと質問されたりします。外して入ったり、外して寝てます。
多くの助けをいただき、およそ一年ぶりの舞台に臨みます。なにぶん片足での出演は生まれて初めての事なので、どのように演じるか、悶々と考えております。楽しみです。宜しくお願いします。

