
西村晃
西村晃 出演映画作品
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ルパン三世 ルパンvs複製人間〈クローン〉MX4D版
制作年:2017年9月1日(金)公開
アニメ『ルパン三世』劇場用長編第1弾として1978年に公開され人気を博した作品を4Kリマスター化し、MX4D版にて上映する。遺伝子操作を題材に、謎の怪人マモーとルパンの壮絶な戦いが描かれる。超大型トレーラーとのカーチェイスやピラミッドでの大逃走など、シリーズ随一のハードなアクションシーンが最新の上映システムで体感できる。
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幕末太陽傳〈デジタル修復版〉
制作年:2011年12月23日(金)公開
『洲崎パラダイス 赤信号』『女は二度生まれる』など数々の名作を世に送り出した川島雄三監督の代表作を、日活が創立100周年を記念してデジタル修復。今から50年以上前に撮影された日本映画史に残る名作を最高の映像で上映する。川島監督の軽妙洒脱な演出と、お調子者だがどこか陰のある主人公の佐平次に扮すフランキー堺の名演が印象深い。
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日本の首領〈ドン〉 完結篇
制作年:
片岡千恵蔵が、政財界の黒幕役で登場する。政財界の黒幕・大山は任侠団体の統一合体を提唱するが、佐倉も大石も乗ろうとしない。そこで……。片岡、佐分利、三船という三大スターの顔合わせが迫力満点。
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サラリーマン専科
制作年:
東海林さだおのマンガを三宅裕司主演で映画化。日向化学工業庶務課長の石橋万作は妻と長男、長女に弟の淳司の5人家族、売れないチェロ弾きの淳司の結婚が心配の種だ。ある日、淳司は迷い犬を返しにいったことから、日向化学の社長宅に出入りするようになる。淳司と万作夫婦は社長の軽井沢の別荘に招待され、そこで社長の姪で世界的なプロゴルファー、ひとみと出会う。驚いたことにひとみが淳司を気に入り、結婚話にまで進むのだった。
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悪名十八番
制作年:
服役していた朝吉は、兄・辰吉の奔走で仮出所。辰吉は土地浄化のため市会議員選挙に立候補するが、土地の悪徳ボス・中沢に大ケガをさせられる。仮出所の身ゆえ朝吉は我慢するが、中沢の嫌がらせは止まらず、ついに清次とともに殴り込む。勝新太郎と田宮二郎最後のコンビ作品。
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喜劇 大泥棒
制作年:
武太郎は守衛をやっているが、それは世を忍ぶ仮の姿で、その実体は日本古来の泥棒術、雲霞流に学んだ正統派の泥棒だった。この武太郎とライバル・ケムンパスの竜、そして刑事・鬼山が銀行襲撃をめぐって繰り広げるあの手この手のユーモア編。
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ルパン三世
制作年:
原作はアメコミ調のタッチで人気を得た、モンキー・パンチのヤング・コミック。TVシリーズでも旧作(1971)、新作(1977)、PART III(1984)とアニメ化されたが、なかで最もアダルト色の強い旧シリーズのスタッフを中心に作られた、劇場用アニメ化の第1作。世界を舞台に、奔放なイメージで繰り広げられるノンストップ・アクションは痛快の一語で、アニメによる日本製“007“といった趣がある。出現した巨大な脳を、ルパンが破壊するクライマックスが圧巻。ルパンは、愛する謎の女・峰不二子に頼まれ、“賢者の石“
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超高層ホテル殺人事件
制作年:
副都心として大躍進を始めた頃の、新宿の超高層ビル群を舞台に、巨大なホテルの経営権をめぐって起こる連続殺人事件と、事件にまつわる人々の人間模様を描いたサスペンス・ミステリー。森村誠一の同名小説が原作で、彼の作品の最初の映画化。
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二代目若親分
制作年:
市川雷蔵亡きあと、後継者として期待された松方弘樹が挑んだ「若親分」のリメイク。熱気ある演技で魅せる。海軍少尉の南条は、父である南条組組長の死後、いさぎよく軍服を脱ぎ、二代目となった。父を殺したのは死の商人と結託し、陸軍過激派をあおる武藤組だった。もちろん、落とし前はきっちりと……。
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アンコ椿は恋の花
制作年:
都はるみの1964年度のレコード大賞新人賞に輝いた大ヒット曲に乗せて、伊豆大島の若者たちの奮闘する姿を描く青春映画。大島に住む美人の姉妹。姉はバスガイド、妹は歌手を目指している。彼女たちに好意を寄せる青年たちが登場して……。市川昭介節をうなる都はるみのコブシのキレは見事。
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ザ・ウーマン
制作年:
江戸時代後期の文化年間、中村座の大名題・坂東三津五郎の後妻で、美貌と男好きによって江戸中にスキャンダラスな評判をふりまいた女義太夫・竹本小伝の、自由奔放な生き方とエロスの世界を描いた異色時代劇。佳那晃子がこの作品でデビューを飾った。
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陸軍残虐物語
制作年:
佐藤純彌監督の記念すべきデビュー作で、日本の軍隊の矛盾を痛烈に暴いた意欲作。補充兵として召集された犬丸らは、厳しい軍紀の中、鬼軍曹の亀岡らに徹底的にいびられまくり、ついには面会に来た犬丸の妻まで亀岡に犯されてしまう。人間としての忍耐の限界を超えた犬丸は……。西村晃の徹底した悪役ぶりも見ものである。
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マイフェニックス
制作年:
アメフトに青春をかける男たちと、芸術学部写真学科に籍を置き、卒業制作のテーマにアメフトを選んだ女子大生との交流を軸に、就職や恋に悩む若者たちの青春群像を描き出した作品。大下英治の『小説・日本大学』をベースに、日本大学創立100周年記念として製作された。タイトルは日大アメフトチーム名からとっている。
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ひばり・橋の花と喧嘩
制作年:
美空ひばりと橋幸夫という大御所同士の初共演による歌謡娯楽映画。唄あり恋あり笑いありの作品。学生時代の初恋を胸に秘め潮来を訪れた自動車セールスマンが、その恋人に再会し愛をつかむまでを描く青春編。美空ひばりが3役、橋幸夫が二役をこなすというハデな趣向が見もの。
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眠狂四郎 炎情剣
制作年:
健気な武家の未亡人の仇討ちを助けたことから狂四郎は海賊・鳥羽水軍の財宝を横取りした藤堂家の陰謀に巻き込まれてしまう。海賊の末裔たちが次々と倒されていくなかで、狂四郎は藤堂家に立ち向かう。山寺の長い回廊での果たし合いなど三隅研次の腰の据わった演出ぶりが見もの。
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座頭市喧嘩太鼓
制作年:
ヤクザの熊吉への一宿一飯の義理から、やむなく若いヤクザ・宇之吉を斬った座頭市だが、熊吉の狙いが宇之吉の姉・お袖にあると知った市は、彼女を連れて逃げる。佐藤允が市のライバル役で登場。
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ある殺し屋の鍵
制作年:
表の顔は日本舞踊の師匠、裏は針1本で人を消す殺し屋という“現代版・必殺仕掛人“に市川雷蔵が扮した「ある殺し屋」の続編。今回のターゲットは政財界の秘密を握る脱税王・朝倉。あざやかな殺しのテクニックを、宮川一夫の流麗なカメラワークで捉えた作品。
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嵐の中を突っ走れ
制作年:
当初、アウトサイダーとしてデビューした裕次郎は、年輪を重ねるにつれて、体制内のヒーローに変貌していった。これはその先駆けの一本。女子高に赴任した熱血教師は、女子高生や芸者に大モテ。そんな男が水産研究所の悪事を暴き、自分のせいで職を失った恋人の父を復職させて街を去るまでを描く。
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ザ・タイガース 華やかなる招待
制作年:
ステージ演奏を夢見て東京へ出てきた5人組が、かつて無銭飲食をしたレストランのウェイトレスとともに、様々な難関をくぐり抜けてステージ演奏を実現させていくまでを描いたサクセス・ストーリー。
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四十七人の刺客
制作年:
元禄14年(1701年)の春。江戸城で播州赤穂藩主・浅野内匠頭が勅使響応指南役・吉良上野介と刃傷沙汰を起こし、浅野は即日切腹、藩は取り潰しと処断された。しかし吉良は無罪。この一方的な処遇の裏には、時の宰相・柳沢吉保と上杉家江戸家老・色部又四郎の策謀があった……。「十三人の刺客」などの脚本家・池上金男が、別名で発表した時代小説の映画化で、おなじみ「忠臣蔵」の物語に新解釈を施し、一種の情報・経済戦争として扱っている点が異色。吉良邸討ち入りを胸に誓った大石内蔵助が、まず塩相場を操って資金を得るくだりや、意図的な流言で“吉良憎し“の世論を高めるなど、これまで“涙“や“義理“でごまかしていた部分を合理的な解釈で埋めている。高倉健が挑む4度目の時代劇で、市川崑との初顔合わせになる。日本アカデミー賞では色部を演じた中井貴一が助演男優賞に輝いたほか、美術・録音・編集の計4部門で受賞。
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絞殺
制作年:
有名高校に通う息子が突然暴力をふるい始め、やがて家族が命の危険を感じるほどまでにエスカレートしたため、父親はやむなく息子を絞殺する。実際に起こった事件をもとに、いわゆる“家庭内暴力“を扱った問題作。単なる時事映画に終わらず一つの家庭が完全に崩壊していく様子を克明に描いている。
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でんきくらげ
制作年:
俗悪な生活環境のなか、時には性を武器にして体を張ってたくましく生きる女たちを、感傷を断ち切った、いわば乾いた知性を持って描いてきた増村保造の風俗映画。母の愛人に犯され、ホステスとなったヒロインは惚れた男の言いなりに金持ちと結婚し、その男の死後、結婚を迫る男を捨て、堂々と生きていくのだった。
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喧嘩屋一代・どでかい奴
制作年:
勝新太郎の豪快なキャラクターを生かしたアクション・ドラマ。地方都市のドヤ街で、“ゴキブリ“の異名をとる青木。彼の住む街が、ヤクザ組織が絡んだ土地開発計画によってつぶされ、青木を筆頭とした住人たちは、ヤクザと対立していく……。
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霧の中の男
制作年:
石原慎太郎の原作・脚本を蔵原惟繕が監督した日活アクションの一編。捕虜収容所での生活から賭博場荒らし、殺し屋という道を歩んだ男の数奇な運命を、回想形式で綴る。葉山良二がギャング役に初挑戦。情婦に扮する左幸子が日陰の女の哀しさを好演している。影を巧みに使った画面構成が秀逸。
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人生劇場〈1983年〉
制作年:
明治の気概に生きた父と子の、波乱に富んだ生涯を描いた、尾崎士郎不朽の名作の映画化。主人公・青成瓢吉と、彼を取り巻く人々の青春期にスポットをあて、原作の『青春編』『愛欲編』『残侠編』を一つにまとめた、3人の監督による共同演出の一編。
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七つの顔の女
制作年:
岩下志麻が強盗団の女ボスを演じるという奇想天外なアクション・コメディで監督には前田陽一が当たっている。城所雪子は新しい仕事を計画し、仲間である4人の金庫破りのプロを集めると、日東繊維の金庫に眠る5億円のウラ金を強奪すべく実行に移った……。
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マタギ
制作年:
秋田の自然とともに暮らす、滅びいく狩猟の民・マタギの生活の細部を、巨大熊への復讐劇という形を装って再現した人文地誌的作品。後藤俊夫はこれが第2回監督作だが、師・山本薩夫ゆずりのガッチリとしたカットの積み重ねで手堅くまとめている。
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ブラック・コメディ ああ!馬鹿
制作年:
出世第一主義のサラリーマンのなれの果てを風刺たっぷりの笑いにくるめた異色喜劇。係長の赤沢が結婚を申し込んでふられたタイピストは常務の2号だ。ところがこの娘が食わせ者。常務の目を盗んで大学生とねんごろになるわ、狂言自殺はするわ。結局、赤沢は常務から彼女を押しつけられる。出世のためと、この厄介者の処理に彼は奔走するが……。
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空海
制作年:
日本で最初に密教を学び、宗教を体系化した偉大な宗教人、弘法大師・空海の人生を描いた超大作。難解と思われる宗教映画を、佐藤=早坂のコンビが、実物大の遣唐船を作るなど映画的スペクタクルをとり入れてわかりやすい映画に仕上げた。壮大な中国ロケも圧巻。
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わんわん忠臣蔵
制作年:
「わんぱく王子の大蛇退治」に続く、東映長編動画の第7作。「西遊記」と同じく原案・構成に手塚治虫を迎え、タイトル通りの動物版「忠臣蔵」が試みられた。ただ、虎のキラーが吉良上野介、犬のロック(石)が大石内蔵助のもじりであるように、その名残りも散見できる。ドラマ的には盛り上がる力作だが、仇討ちにすべて終始してしまうところが、やや味けないともいえようか。森の動物を守る母を、虎のキラーに殺された子犬のロック。彼は町へ出たあと、灯台の島の女の子に育てられる。やがて成長したロックは、町の犬たちとともに、今は動物園に君臨するキラーに、仇討ちを挑む。猛獣たちを従えたキラーを相手に犬たちは奮戦し、ついにキラーを倒すのだった。
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あの橋の畔で 完結篇
制作年:
長い時を経て二人の男女は結ばれるが、不治の病に冒された妻は……といった、現在に通ずる“泣けるドラマ”にも影響を及ぼしている名作シリーズの完結篇。政略結婚の末、葉子は数々の不遇に遭ったが、遂に夫と離婚し、光晴のもとへ。しかし、光晴は担当医から彼女が病気で2年の命だと知らされる。それから時は流れて2年後、二人に奇跡は訪れるのか?
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南国土佐を後にして
制作年:
ペギー葉山が歌い大ヒットを記録した同名曲にあやかり、斎藤武市監督、小林旭主演で映画化された歌謡アクション。刑務所を出所したヤクザの原田譲司は、故郷の高知へ帰り恋人と堅気に生きようとするが、恋人に横恋慕する地元ヤクザのボスにことあるごとに痛めつけられ、またヤクザの世界に舞い戻る。しかし再び恋人のために出直そうと決意し、警察に自首する。この作品は封切りで予期せぬほどの興行成績を収め、マイトガイ・小林旭は、石原裕次郎と並ぶスターの地位を獲得した。また、小林旭の全盛期を代表する“渡り鳥”と“流れ者”の両シリーズの原型となった点でも重要な作品。
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津軽じょんがら節
制作年:
津軽の寂れた漁村。そこは、東京のバーで働いていたイサ子の郷里だった。イサ子はヤクザらしい男を連れている。男は徹男といい、よその組の幹部を刺したために追われていて、彼女は彼をかくまうために戻って来たのだった。さっそく海辺の小屋で二人の新しい生活が始まるが、単調な毎日が男にはやりきれない。ただ、盲目の少女・ユキと遊んでいる時だけ男はとても明るい……。都会の空気にしかなじめないはずの男が、次第に日本的な風土に惹かれていく様を描いた斎藤耕一の代表作。津軽の荒涼とした海と津軽三味線のもの哀しい音色が、情感を盛り上げている。原作は長部日出雄の同名直木賞受賞作。
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山びこ学校
制作年:
無着成恭が編集して、当時大ベストセラーになった作文集『山びこ学校』を原作として映画化したもので、脚本の八木保太郎が自ら設立した独立プロ“八木保太郎プロダクション”の第1回作品である。山村で起こる生徒と先生、村人とのふれあいを、ドキュメンタリー的なタッチで描いたさわやかな一編。
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釣りバカ日誌S〈スペシャル〉
制作年:
“男はつらいよ”シリーズの併映作品として出発した“釣りバカ”シリーズ。登場以来、正月興行の配収大幅アップの余勢を駆って、お盆休み一本立ての新バージョンが生まれた。今回も建設会社のダメ社員・ハマちゃんと社長のスーさんとの釣りバカコンビは健在だが、ハマちゃんの愛妻・みち子さんとスーさんの不倫疑惑がこの名コンビ最大の危機を呼ぶのがミソ。5年ぶりのメガホンとなる森崎東監督は、西田敏行のダブダブの肉体を目一杯使いこなした猪突猛進型アクションに、突然できてしまった妻との距離を埋めようともがく超愛妻家の感情をあふれさせる。今までのシリーズとは一味違う骨太の人情喜劇。
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五瓣の椿
制作年:
松竹が、というより日本が生んだ大作メロドラマの1本。人の良い父親が病気なのをいいことに、不義を重ねていた母親を憎む娘が、父の死後、身を挺して相手の男たちに近付き、次々と殺害しては、父が愛した椿の花を残して去る。岩下の熱演と川又の美しいカメラ・ワークが印象的。
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告訴せず
制作年:
衆院選に立候補した木谷は、派閥を裏切り、反対派のボスから3千万円を調達する。ところが金の運搬役が、その金を横領して姿をくらましてしまう。告訴したくても告訴できない、社会の仕組みを鋭く突いたブラック・コメディ。主役の金に操られていく男を青島幸男がコミカルに演じている。
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果しなき欲望
制作年:
敗戦時、一人の軍医がひそかに埋めた時価6千万円のモルヒネ発掘をめぐって、軍医の旧部下と称する4人の男たちと、今は亡き軍医の妻と称する女が繰り広げる色欲と物欲のドラマ。そこに長門裕之が演じる失業青年が絡み、恋人の浮気を警戒しながらも、自分は妖艶な渡辺美佐子扮する志麻の誘惑に簡単に落ちてしまうところがおかしい。西村晃、小沢昭一など今村作品ではおなじみの芝居巧者が、作品を盛り立てている。今村監督はこの欲にとりつかれた亡者たちが自滅していく様を、粘り気のあるエネルギッシュな演出で描く。
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盗まれた欲情
制作年:
今東光原作の『テント劇場』を、今村昌平が第1回監督作品として映画化した風俗ドラマ。大阪は河内地方のドサまわり一座。大学出の文芸部員・岡田信吉は小難しい理論をたてにこの世界に飛び込んできたが、理想と現実のギャップはあまりにも大きかった……。今村昌平の演出には、新人にみられがちな緊張がみじんもみられず、ひとクセもふたクセもありそうな連中がのさばる、この人間のごった煮のような風俗ドラマを完璧に仕切り、すでに大家の風格さえ漂わせている。特に大騒ぎで村を去っていく旅役者の一座が画面狭しとひしめくラストシーンには、今村昌平の持ち味である土着のバイタリティーが見事に表われている。DVDは「今村昌平 日活作品全集(1)」に収録。
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御用牙・かみそり半蔵地獄責め
制作年:
かみそり半蔵は、捕らえた盗人から、寺や神社ではやっている“子おろし”に関係する殺人事件をかぎつける。女神主を得意の拷問にかけて、事件の裏に潜む尼寺の腐りきった実態を突き止めていく……。名匠・増村が1作目に負けぬ迫力で描いた佳作。
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御用牙
制作年:
シリーズ第1作にあたるこの作品は、すでに“子連れ狼”シリーズで小池一夫作品を映画化している三隅研次が監督し、シリーズ中最高の迫力をもった作品に仕上げた。島破りにより逃げ出した4人を捕えるため江戸中で無宿人狩りが行われた。噂では重罪人の人斬り屋・三途の竿兵衛も江戸に潜入しているという。竿兵衛の情婦・お美乃が上役目付の妾と知った半蔵は、お美乃を捕らえ、天井からつるして“座禅ころがし”なる責めを加える。お美乃の白状により、大奥にまで広がる悪の根源を叩きつぶすべく、半蔵は身の危険も顧みず、男子禁制の大奥に乗り込んでいくのだった……。ビデオは90分。
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御用牙・鬼の半蔵やわ肌小判
制作年:
シリーズ3作目は、2作目の監督・増村保造が脚本を担当。1、2作目ほどの圧倒的なパワーはないが、それなりに楽しめる。江戸城のお濠ばたに出るという幽霊のウワサを聞いた半蔵は、その裏に盗まれた小判が隠されていることに気づくのだが……。
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殺したのは誰だ
制作年:
自動車セールスマンの栄吉は老いたせいか仕事の成績が悪い。そんな時、車を故意にぶつけて保険金を詐取しようという仲間の誘いを受けたが、弱気の栄吉は断った。栄吉の代わりに決行した男は車の事故で死ぬ。新藤兼人のオリジナル・シナリオを中平康が演出。
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西銀座駅前
制作年:
「盗まれた欲情」でデビューした今村昌平の第2作。人気絶頂のフランク永井の歌にのせて、男の弱さと女の強さが浮き上がる。女房に頭の上がらない薬局の主人が、浮気に走って失敗するまでの絶望的状況を、コメディ・タッチで描く。今村流・人間悲喜劇の初期作品。DVDは「今村昌平 日活作品全集(1)」に収録。
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左ききの狙撃者 東京湾
制作年:
麻薬取締官が射殺され、銃弾の角度から犯人は左利きと判定された。捜査一課の澄川刑事は麻薬関係者の立ち回り先を洗い始めるが、容疑者を尾行中、戦場での命の恩人である左利きの狙撃兵、井上と再会する……。俳優の佐田啓二の第1回企画作品。松山善三と多賀祥介のオリジナル脚本を、刑事ものに定評のある野村芳太郎が監督。
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紅の翼
制作年:
この作品で出演24作目を数え、押しも押されもしない大スターになった石原裕次郎が主演した航空アクション。劇中の6割以上が空の上、しかも狭いセスナ機の中という設定にもかかわらず、少しも飽きさせることなくドラマが進む。二谷英明演じる冷血な殺人犯に銃を突きつけられながらも、持ち前の明るさと度胸で危機を切り抜ける熱血漢の主人公を裕次郎が好演している。民間航空のパイロット・石田に、八丈島の子供が破傷風にかかり至急血清を送れという知らせが来た。セスナ機には紳士と女性記者が同乗。途中で男が殺人犯とわかり、セスナ機はやむなく不時着するが、子供へのヒューマニズムに燃える石田は殺人犯を倒し、傷つきながらも八丈島へ……。少年が生きるか死ぬかというタイムリミットをうまく生かし、その後多くの亜流の作品を生んだ航空サスペンスの傑作。
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悪い奴ほどよく眠る
制作年:
当時ひんぱんに起きていた政治汚職をテーマにした黒澤明の力作で、黒澤プロの第1回作品。父親を汚職事件の犠牲で失った孤児・西幸一が、父親を死に追いやった元凶である政治家たちに様々な方法で復讐していくが、悪の根源はもっと深いところにあった。現代悪の汚職にメスを入れるというきわめて社会性の強いテーマながら、黒澤明は娯楽映画としても十分楽しめるように、スリルとサスペンスに富んだ作品に仕上げた。その反面、汚職の核心の部分が薄められてしまった点は否めない。西幸一に扮した三船敏郎はやや一本調子だが、老政治家に扮した森雅之のキャリアの重みを感じさせる巧演は見事。
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幕末残酷物語
制作年:
新選組に入隊した、気弱で力もない青年の物語。舞台は新撰組の屯所内に限定され、その中で厳しい規律に縛られた若者たちが人間性を失い、破壊していく様を描く。徹底したワンセット・システムの撮影と、まだ幼さの残る藤純子が印象的。
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犬死にせしもの
制作年:
終戦直後、瀬戸内海を荒らし回った海賊たちの青春を描く海洋アクション。昭和22年、復員兵の重左は、戦友で今は海賊をやっている鬼庄に出会い、その仲間に加わる。仕事は順調だったが、嫁入り船から花嫁を奪ったことが瀬戸内の大親分・花万にばれて狙われるハメに。嫁ぎ先から、花万に彼女を取り返すようにと依頼がきたのだ。だが、政略結婚の犠牲となるところだった花嫁・洋子は重左と恋に落ち、故郷・竹田津へ逃げようとする。そこを花万の追っ手に見つかり、重左たちとの激しい戦いが始まる……。アクションもさることながら、一人一人死んでいく仲間たちの描き方が鮮烈だ。
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黒薔薇の館
制作年:
「黒蜥蜴」に続く女装の麗人・丸山明宏主演の異色作。黒薔薇の館に君臨する謎の美女と、組織を裏切って人を殺し、組織と警察の両方から追われる青年との死をも恐れぬ絶対の愛を描く。前作は三島由紀夫の舞台劇の映画化だったが、今回は映画用のオリジナル・ストーリー。
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帝都物語
制作年:
荒俣宏の長編伝奇小説を、『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』のTVシリーズを手掛けた実相寺昭雄監督で映画化。明治45年から昭和初期までを背景に、東京壊滅をたくらむ魔人・加藤保憲と、それを阻止しようとする人々との戦いを描く。陰陽道を操る加藤の投げた紙がカラスに変化するといった最新のSFX、関東大震災を再現した、円谷プロの名残を残すミニチュア・セットなど、近年の邦画のなかでも全編の特撮処理のうまさは光る。その他、美術を手掛けた木村威夫のこだわりが現れた、昭和初期の銀座を完璧に復元したセットが見もの。
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清水の暴れん坊
制作年:
石原裕次郎と赤木圭一郎の記念すべき初共演作。裕次郎扮する敏腕ラジオ・プロデューサーと、赤木扮する麻薬組織のチンピラの心の交流が、痛快なアクションを交えて描かれる。裕次郎があまりに立派すぎるキャラクターで、二人のギャプも見どころ。
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霧笛が俺を呼んでいる
制作年:
赤木圭一郎が歌う主題歌がヒットしたムーディーな日活アクション映画。下敷きはイギリス映画「第三の男」であるが、舞台を霧に包まれた港町に設定することで、独特の雰囲気を醸し出している。冒頭からラストシーンに至るまで、この霧と霧笛のイメージは繰り返し画面に登場し、圭一郎とヒロイン・芦川いづみの淡い恋とミステリアスな事件の重要な道具立てとなっている。船のエンジン故障で陸に上がることになった航海士・杉は旧友の浜崎を訪ねて、彼が2週間前に突堤で溺死体で発見されたことを知る……。
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縞の背広の親分衆
制作年:
森繁が森の石松の後裔で、ブラジルから20年ぶりに里帰りする元ヤクザを演じるという“ヤクザ映画”に対するパロディ精神にあふれた作品。森繁とフランキーの芸達者ぶりが光る。ハチャメチャなストーリー展開とラストのオチには思わずニヤリとさせられるはず。
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眼の壁
制作年:
松本清張のベストセラーを映画化した社会派推理劇。奥湯河原山中で、昭和電業の会計課長・関野の自殺死体が見つかる。残された遺書からパクリ屋一味の詐欺にかかり、手形を奪われた責任をとったものだと判明。部下の萩崎は、パクリ屋一味の足どりを追う……。アッと驚く展開が待ち受けている。
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如何なる星の下に
制作年:
文芸作品の映画化に意欲を燃やす豊田四郎が、名コンビ・八住利雄の脚色を得て、高見順原作に取り組んだもの。ただし、時代、場所設定とも変えられている。佃島のおでん屋“惣太郎”を舞台に、今は投げやりな人生を送る主人の惣太郎や妻、そして3人の娘たちそれぞれの人生模様を軽いタッチで描いていく。
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喜劇 爬虫類
制作年:
渥美清を筆頭におなじみ喜劇陣が顔をそろえたコメディ。金髪美人のヌードで稼ぎまくっているドサ回り劇団。ある日、警察の風紀係に一同御用となる。だが転んでもただでは起きない男たちのこと……。伴淳三郎、上田吉二郎らが脇を固めている。
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座頭市あばれ火祭り
制作年:
ヤクザ組織の盲目の支配者に、座頭市が窮地に立たされてしまうシリーズ第21作。アイデアマン・勝新太郎が、初めて正式に脚本に参加しているが、特に目新しい趣向は見られない。市のライバル役の仲代達矢は、得意のギョロ目をむいてすごんでみせるものの、「椿三十郎」の時のような迫力はない。
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怪談・蛇女
制作年:
明治の初め、小作人の弥作は地主の馬車でひき殺され、その妻、すえも地主に鞭打たれたのがもとで死んでしまう。それ以来地主の家にはすえの亡霊が現れるようになり、地主一家は次々と悲惨な最期を遂げていく……。「東海道四谷怪談」など怪談ものを得意とした中川信夫監督が手掛けた怪奇の世界。
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吸血髑髏船
制作年:
「吸血鬼ゴケミドロ」に続く、松竹怪奇映画の第2作。数億の金塊を積んだ貨物船の乗組員が、金目当ての5人組によって皆殺しにされる。やがて貨物船は幽霊船と化し、殺された船員の妹に霊が乗り移って、5人組への恐ろしい復讐が始まった。
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脅迫〈おどし〉
制作年:
一流サラリーマン・三沢の家に、世界的なガンの権威である坂田博士の孫を誘拐した川西とサブが逃げ込んできた。彼らに身代金の受け取りを命じられた三沢は、恐怖心に身をすくめるが、やがて妻と子を守る使命感に目覚めていく……。深作欣二と宮川一郎のオリジナル脚本を、深作が監督したサスペンス・ドラマ。
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事件
制作年:
犯罪事件の中に、骨太の人間ドラマをカット・バックを多用して構築するという、野村芳太郎監督の手腕がさえる1本。単純な刺殺事件と思われた犯行の裏に、ひと組の姉妹の葛藤が激しく渦を巻いていた。回想を的確に取り入れて事件の真相を観客とともに解明していく。各映画賞で助演賞を総ナメした大竹しのぶの体当たりの演技も秀逸だ。19歳の工員がスナックのママを刺殺する事件が起きた。動機は? 殺意はあったのか? 公判が進むうちに、工員の青年をめぐって、ママとその妹が激しい争いをしていたことが明るみに出る……。
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君よ憤怒の河を渉れ
制作年:
巨大な権力の陰謀によって無実の罪を着せられた現職の検事が、見えない敵を追って東京から北海道へ500キロの復讐の旅を行く、というスケールの大きいアクション作品。彼を追う警部に原田芳雄、恋人役に中野良子ら個性派が脇を固めている。
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金環蝕〈1975年〉
制作年:
九頭竜川ダム建設をめぐる政財界の黒い霧と、総裁の座を争って血みどろの戦いを演じる政治家たちを描いた、石川達三の同名小説が原作の社会派タッチの大型ドラマ。国会の議事録から綿密に構成したという原作のエネルギーを山本薩夫が見事に爆発させる。
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戦争と人間・第2部・愛と悲しみの山河
制作年:
軍部が権力を強めるなか、伍代産業は積極的に満州に進出する。そんな時期、俊介と人妻・狩野温子の激しい恋は悲劇的な別離に終った。標耕平は、俊介の妹・順子の愛を感じながらも、反戦運動に身を投じる。大陸では、日本軍が盧溝橋で攻撃の火蓋を切った。ビデオは前篇と後篇がある。
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座頭市牢破り
制作年:
座頭市はヤクザ同士の喧嘩で、朝五郎という百姓に味方する親分の人柄に惚れるが、数ヵ月後に再会した朝五郎は百姓たちを苦しめる悪徳ヤクザになっていた……。三國連太郎が屈折したヤクザの親分役を巧演する。「戦争と人間」(1970~73)、「不毛地帯」(1976)などで知られる巨匠・山本薩夫が演出にあたった一編。
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牡丹燈籠
制作年:
社会派・山本薩夫が取り組んだ唯一の怪談映画。三遊亭圓朝が創り上げた古典的傑作を“恐怖”よりも、“愛”“情念”を全面に押し出した恋物語として映像化した。恋しい男のもとに夜な夜な現れる妖艶な美女幽霊の凄まじい執念を描く。
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北陸代理戦争
制作年:
深作欣二監督による実録ヤクザ映画。北陸の富安組・若頭の川田は、卑劣な親分・安原を追い出すが、安原は大阪の浅田組と組んで、川田を刑務所に送り込む。数年後、川田が出所すると北陸は浅田組の天下となっていた。川田は仲間を集め、浅田組を北陸から一掃する闘いを始める。
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がめつい奴
制作年:
菊田一夫のヒット戯曲の映画化。大阪の下町で木賃宿・釜ケ崎荘を営んでいるお鹿は“がめつさ”では誰にも負けない中年女。彼女の唯一の楽しみは、台所の梅干しのカメの中に隠した札束を数えること。最近は息子の健太が、住人の小山田姉妹の妹・絹と恋仲になっていることが気に入らない。姉妹が昔の奉公先の娘だったからだ。そんなある日、土地をだまし取った熊吉とモメた姉妹の姉・初江が、彼を刺してしまう……。
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赤い殺意〈1964年〉
制作年:
封建的なところがあった頃の東北を舞台に、古い因習の重圧に苦しむ小心な女が、ある事件を契機に強い女へと変わっていくさまをどっしりと描いた今村映画の真骨頂。「にあんちゃん」が文部省推薦になり、あまりの恥ずかしさにもっと“まじめな”ものを作ろうと企画したというのがいかにも今村らしい。古い家族制度の中でいちばん下におかれ、いつもビクビクしながら生活している貞子。小心な大学職員の夫が留守の夜、眠っていた彼女は強盗に犯された。一度は死のうと思った貞子だが、なかなか死ねずにあきらめる。その後も強盗はやってきて関係を持つうちに、本気で貞子を愛するようになる。心臓を病む強盗は、最初は暴力で犯したのに、やがて哀願に変わる。貞子は強盗に殺意を抱くが、自分が手を下す前に男は病死。そして強くなった彼女は家族の中で主婦の座を確立するのだった……。地味な題材を暗くせずに、女性の心奥に隠れているバイタリティーさ、生命力の噴出を描いて、今村節が冴えわたる重喜劇。
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脱獄広島殺人囚
制作年:
敗戦直後の混乱期、植田正之は仲間と共謀、闇屋と女を殺してモルヒネを強奪、逮捕され投獄されたもののすぐに脱獄。以後、脱獄入獄を繰り返し刑期は合計41年7ヵ月までふくれあがった。それでもなお脱獄にエネルギーのすべてを賭ける植田。執拗なまでの男の自由への戦いぶりを描いた痛快脱獄アクション。
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妖艶毒婦伝・人斬りお勝
制作年:
宮園純子主演の“妖艶毒婦”シリーズ第2作。演出はベテラン中川信夫があたっている。甲源一刀流の娘・お勝の受難と復讐の物語。東映は同じく藤純子の“緋牡丹お竜”シリーズとともにドル箱シリーズ化を狙ったが、3作で打ち止めとなった。第1作の監督・石川義寛は中川の弟子で、「東海道四谷怪談」のシナリオにも参加している。
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ビルマの竪琴〈総集編〉
制作年:
ドイツ文学者・竹山道雄の同名小説を市川崑が監督した作品。1部、2部と分けて公開された。太平洋戦争末期、ビルマからタイへ逃がれようとする井上部隊は、井上隊長以下、みな音楽好きで、特に水島上等兵の弾く竪琴は、疲れ切った隊員たちの心に滲みた。やがて戦争が終わり、井上部隊はムドンの収容所へ送られることに。水島は一人、戦争終結を信じず立てこもる日本軍の説得に派遣される。だが、彼の説得は聞き入れられず隊は全滅する……。収容所に落ち着いた井上部隊は、水島そっくりの僧とすれ違う。それは収容所に向かう途中、放置された日本兵の白骨を見て、霊を慰めることに決めた水島の姿だった。
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太平洋奇跡の作戦 キスカ
制作年:
アメリカ軍が反撃に転じたため、太平洋における日本軍は敗退を余儀なくされた。アッツ島の日本軍は玉砕し、キスカ島にも危機が迫った。海軍はキスカに救出艦隊を派遣する。日本映画には珍しく陽性の戦争映画。サスペンスの盛り上げ方、特撮も迫力があり楽しめる。
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越前竹人形
制作年:
越前の寒村に住む若い竹細工師・喜助は父の囲い者の遊女・玉枝と同情心から所帯を持つことになる。しかし肉体のまじわりのない夫婦生活に欲求不満を感じた玉枝は、かつてのなじみ客と情交してしまい、不倫の子を身ごもるが、堕胎に失敗して死んでしまう。失意の喜助は人形制作をやめる……。悲劇性の色濃い物語を、宮川一夫が暗い情感を湛えたカメラで捉えていて、竹林などの自然の景観が圧倒的に美しい。喜助が遊女に寄せるプラトニックな想いを、人形制作への打ち込みぶりで表現した吉村監督の演出が秀逸。肉体の欲求不満を、さりげない官能性を漂わせて表現した若尾文子の演技も印象に残る。
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修羅雪姫〈1973年〉
制作年:
夫と息子を殺された女が犯人の一人を殺して投獄され、無期懲役の判決を受ける。その娘・お雪は母親のうらみを晴らそうと、浮浪者部落の人々の情報をもとに次々と犯人たちを追いつめていく……。文明開化の鹿鳴館を舞台にした、梶芽衣子人気絶頂期の復讐譚。
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泥だらけの純情〈1977年〉
制作年:
大使を父に持つ財閥の一人娘と、ふと知り合った若いヤクザが恋に落ち、抗争に巻き込まれていく姿を描くアクション・タッチの純愛メロドラマ。1963年に吉永小百合、浜田光夫主演で映画化された作品のリメイク版で、百恵=友和コンビ6本目の出演作。
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桜の森の満開の下
制作年:
坂口安吾の短編小説を、篠田監督が耽美的手法で映画化。王朝時代、山里に住む山賊が、惚れた都の女の言いなりになり、人間の首の収集を続ける。一面満開の桜の下で、男に背負われた女が異形の山姥に変貌するラストの幻覚シーンが異様に美しい。
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十一人の侍
制作年:
「十三人の刺客」「大殺陣」などの集団時代劇に力作を数多く残す工藤栄一監督の「日本暗黒史・血の抗争」に続く1967年度作品。“トラック野郎”シリーズの監督・鈴木則文が脚本に参加している。館林藩主・松平齊厚の短気が原因で家老・阿部正由が殺された。次席家老・榊原帯刀はこれを提訴したが認められず、仙石隼人に齊厚暗殺を命ずる。隼人は同志9人を引き連れて江戸に上り、暗殺計画を練る。計画は一旦頓挫したものの、ついにチャンス到来。豪雨の中で悽惨な死闘が繰り広げられる。このラストの大殺陣場面によって、武家政治の暗黒のむなしさや無意味さがヒシヒシと伝わってくる。
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十三人の刺客〈1963年〉
制作年:
東映がチャンバラから、任侠ものや実録暴力団路線に移行する過程に生まれた、いわゆる“集団抗争時代劇”を代表する作品である。監督の工藤栄一はこの作品の他に「十一人の侍」や「大殺陣」などこのジャンルでの傑作を撮り、注目を浴びた。将軍の弟で明石藩主である暴君を権力の座から抹殺するべく、刺客が送られた。刺客たちは明石藩一行をある宿場に待ち伏せし、行く手をふさいで殺りくするべく計画を練る。策士、剣の達人、血気にはやる若者など13人の暗殺隊は、宿場を出口のない迷路に作りかえ、数に勝る明石藩の武士たちを迎え撃つ。やがて宿場に到着した獲物と刺客たちの壮絶な死闘が始まった……。宿場のせまい閉じた空間に繰り広げられる死闘と、あちこちに仕掛けられた様々な罠をダイナミックなカメラワークで描き出し、また個性ある刺客たちのそれぞれの戦いぶりをスピード感あふれる映像にしてみせた工藤栄一の演出は素晴らしく、ラスト10数分の大殺陣は長く語り継がれていくだろう。そしてただのチャンバラに終わらず、政治に踊らされ殺人機械と化した侍たちの悲哀をも描いた、テーマ的にも重厚な大作である。
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若い狼
制作年:
更生を誓って少年院を出た信夫だが、郷里の炭鉱は廃坑となり、出かせぎに行った父の消息も知れず。母は日雇いをしながら幼い弟妹を抱えて貧しく暮らしていた。信夫は恋人の道子を頼って上京するが職はなく、少年院時代の仲間に誘われヤクザ組織に入ってしまう。少年たちの出口なき状況を、ドキュメンタリー・タッチで描いた恩地日出夫監督の処女作。
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図々しい奴
制作年:
当時、TVで高視聴率をたたき出した人気ドラマの映画化。東映のプログラム・ピクチャーを支えた瀬川昌治監督が登板し、クレイジー・キャッツのメンバー、谷啓を映画初主演として迎えた喜劇だ。孤児である少年の夢に魅せられた男が、彼を引き取り育てることに。やがて大人へと成長した少年は上京して羊かん屋に就職し、出世街道をひた走るが・・・・・・。
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地の涯に生きるもの
制作年:
動物文学の大家・戸川幸夫の『オホーツク老人』の映画化。厳寒の知床半島の冬、たった一人で漁師の番屋を守る老人・村田彦七。“留守番さん”と呼ばれ、ネズミ払いのネコだけを話し相手に、彼は幾度もこれまでの人生を反芻する。漁師として独立したあの日、無理矢理づくでの結婚を経て3人の息子に恵まれた様々な思い出。ある夏、死んだ息子の恋人だったという都会の娘・冴子が彼のもとを訪れ、懐かしい話をしてくれた……。
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喜劇 急行列車
制作年:
特急列車の専務車掌・青木吾一は鉄道一筋人間で、4人の子どもに“特急”“さくら”“つばめ”“ふじ”と名付けるほど。ある日長崎行き“さくら号”で吾一は初恋の人・毬子に出会う……。
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忍びの者
制作年:
大泥棒として有名な石川五右衛門を、権力に反逆した下忍として描いた村山知義の同名小説の映画化。監督は社会派の巨匠・山本薩夫があたり、リアルで豪快なアクションと権力の道具として生きるしかない下忍の反逆の叫びを描き出し、時代劇映画に新たな地平を切り拓いた。戦国末期、全国制覇の野望に燃える織田信長は延暦寺、石山本願寺など宗門の掃討に取りかかる。伊賀の国、百地三太夫配下の下忍・石川五右衛門は抜群の技術を誇り、仲間から一目置かれる存在だ。天台、真言修験僧の流れを汲む忍者たちは信長暗殺の密命を受けるが、なぜか五右衛門だけは残されてしまう……。三太夫役の伊藤雄之助の迫力ある熱演が見もの。
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肉体の盛装
制作年:
新藤兼人の原作『偽われる盛装』を本人自ら脚色した女性ドラマ。元芸者のきくと、その娘でドライな芸者の君蝶は、まるで正反対の性格で、君蝶は金のことしか頭になかった。妹の妙子は市役所に勤めながら恋人との愛をはぐくむが、先方の親に結婚を反対されてしまう。3人の女、三様の生き方を描く。
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ゼロの焦点〈1961年〉
制作年:
松本清張の同名ベストセラーを、のちに名作「砂の器」を生むコンビ、野村芳太郎と橋本忍が映画化。金沢で広告会社に勤める男が死体で発見された。彼の死に疑問を感じた妻は、単身調査に乗り出す。時制が過去・現在と交錯するなかに、人間の性が浮かび上がる。能登半島でのクライマックスが印象に残る。
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黒い画集 あるサラリーマンの証言
制作年:
松本清張の原作を橋本忍脚色、堀川弘通監督で映画化した社会派推理映画の秀作。某社の課長・石野は、部下の女性との情事の帰り道に知人・杉山に会う。数日後杉山は、殺人事件の容疑者になり、アリバイ立証のために石野に証言を求めるが、石野は自分の地位や家庭を守るために証言を拒否する。杉山は逮捕され石野は愛人との仲を清算しようとするが……。日本の社会生活に密着し、なおかつミステリーとしての面白さも兼ね備えた松本清張の原作は、映画化にはもってこい。「張り込み」を筆頭に数多くの傑作が生まれているが、この作品は一連の松本清張のもののなかでは、特にエンターテインメント的な面白さを持った作品。この作品の成功により“黒い画集”シリーズが連作される。
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